Q. 私は現在、4年制大学でコンピューターサイエンスを専攻しています。日本の父の経営している会社が今回のコロナウイルスの影響で経営困難となり、仕送りを受けるのが難しくなってしまいました。あと1年で卒業できるので、今まで続けた勉強を諦めたくありません。以前インターンをしていた会社がバイトさせてくれると言うのですが、将来のことも考えて不法に就労したいとも思いません。卒業前に合法的に働く方法はありますか?
A. あなたの場合、実家の会社が経営困難になったという理由があるので、「Unforeseen Economic Necessity(Severe Economic Hardship)」の申請が考えられます。これは、米国入国時には学校を卒業できるだけの資金源があったにもかかわらず、学生のコントロールの及ばない範囲で事情が変わった場合、学校と移民局の許可を得ることで、キャンパス外でも就労することができるという制度です。これは、両親の失業、または入院による膨大な医療費の出費により、継続して就学を続けることが難しくなった場合などに適応されます。ここでのポイントは、米国入国時には予期していなかった事情が、学生側の原因で起こったのではないということです。今回のコロナウイルスによる経済的影響が実家のビジネスに影響したことは、あなたが大学に入学した時点では予期できなかったことは容易に考えられるので、これが理由として認められる可能性があります。
「Practical Training」を在学中に利用する方法
また、それ以外の申請として、あなたの場合「Practical Training」の利用が考えられます。「Practical Training」には「Curricular Practical Training」と「Optional Practical Training」の2つがあります。
さらに「Optional Practical Training」は「Pre-Completion」「Post-Completion」の2つに分けられ、「Pre-Completion」はコースワーク終了前、「Post-Completion」は終了後のものを指します。よって、あなたのように卒業する前でも、「Curricular Practical Training」、または「Optional Practical Training」の「Pre-Completion」で就労できる可能性があります。まず、「Curricular Practical Training」は、フルタイムの学生として9カ月以上学校に通い続けた後、学校 (Designated School Official)の許可を得ることで、学期中は週20時間まで、休暇や休日の間は、その後の学期の授業に参加することを前提としてフルタイムで就労できます。職種の選択は学生の専攻する学術領域に限られます。次に、「Optional Practical Training (Pre-Completion)」は、「Curricular Practical Training」と同じようにフルタイムの学生として9カ月以上学校に通い続けた後、学期中は週20時間まで、休暇や休日の間は、その後の学期の授業に参加をすることを前提としてフルタイムで就労ができる制度です。職種の選択にあたっても、同じように、学生の専攻する学術領域に限られます。「Curricular Practical Training」との違いは、学校(Designated School Official)の許可、および移民局の許可を必要とすることです。また、就労期間がフルタイムで1年(週20時間ならば1年に換算)までに限られています。さらに、後に「Optional Practical Training(Post-Completion)」を申請した場合、就労可能な最長期間(1年間)から、「Pre-Completion」で就労した期間が差し引かれるので注意が必要です。一方、「Curricular Practical Training」で就労した期間は、「Optional Practical Training」の就労可能な期間(合計1年間)より差し引かれることはありませんが、フルタイムで1年間就労した場合は、「Optional Practical Training」を申請できなくなります。従って、「Curricular Practical Training」でフルタイムの就労した後に「Optional Practical Training」も申請する予定があれば、1年より1日でも短い期間の就労にしておく必要があります。
「On-Campus Employment」にて大学内で働く方法もある
さらに、「On-Campus Employment」の可能性も考えられます。キャンパス内ならば、学期中は週20時間まで、休暇や休日の間はその後の学期の授業に参加することを前提としてフルタイムで就労できます。リサーチ・アシスタントなどが代表的な例ですが、キャンパス内ならば、書店やカフェテリアなど雇用主が学校自体でなくてもかまいません。「On-Campus Employment」の場合、移民局の許可は必要ありませんが、学校自体が許可制にしている場合があるので、「International Student Office」で相談するのをお勧めします。 最初に述べた「Severe Economic Hardship」の申請は、もちろん申請すれば必ず通るというわけではなく、個々のケースに応じて審査官が判断することになります。あなたの状況を鑑みたうえで、どの申請方法を選択するかを判断することをお勧めします。
※このページは「2020年5月1日号ライトハウス・ロサンゼルス版」掲載のコラム『移民法のツボ(瀧 恵之)』を基に作成しています。最新の情報と異なる場合があります。あらかじめご了承ください。
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