- 「H-1B」ビザの抽選を通過しました。現状と今すべきことを教えてください
- グラフィックデザインで修士を取得。 H-1Bビザの取得は可能?
- 飲酒運転逮捕の経歴があってもH-1Bビザは取得できますか?
- ビザ取得の際の飲酒運転逮捕歴
Q:アメリカの大学をビジネス専攻で卒業し、OPTで現在働いています。その会社で今年4月1日に「H-1Bビザ」を申請してもらいました。抽選は通過したと聞きました。「H-1Bビザ」の状況と、私が今しなければいけないことを教えてください。
A:移民局は、今年4月8日に2014年度の「H-1Bビザ」の申請数の状況を発表しました。「H-1Bビザ」は、1会計年度(10月1日~9月30日)内の発行数が6万5000に限られており、米国で修士号を取得した申請者向けに、これ以外に2万の大学院枠が設定されています。通常、「H-1Bビザ」は会計年度枠が埋まり次第、打ち切られます。しかし、4月1日に定員に達したとしても、その日に受付を締め切るわけではありません。何日の猶予があるかは、年によって多少違います。
2014年度の「H-1Bビザ」の競争率が高かった理由
今年の「H-1Bビザ」は、4月1日から4月5日まで受け付けられました。4月8日の発表では、4月5日までに8万5000の枠に、12万4000の応募があり、4月7日に申請者間の抽選がコンピュータープログラムによって行われました。抽選を通ったか否かは、レシート受け取りの有無でわかります。レシートが届けば、抽選に通ったことを意味します。レシートが届かず、申請書類(申請費用のチェックを含む)が通常弁護士事務所に返送された時点で、抽選に漏れたことが確定します。この号が出版される頃には、書類が戻ってきた方もいると思います。
ちなみに過去、08年、および09会計年度は、申請者がこの規定枠の数を遥かに超えたため、抽選が行われました。このため、学生のOPT(Optional Practical Training)期間中に企業が予算をかけてトレーニングを行ったにもかかわらず、「H-1Bビザ」の申請が抽選で却下されたために雇用継続を中断せざるを得ないという事態が起こっていました。しかし、10年度以降は、経済不況に加えて抽選になることを恐れた企業側が「H-1Bビザ」対象者の雇用を控えたという経緯もあり、申請者の数は減少していました。
ただ、今年は景気回復の兆しと、IT系の企業の好景気に拍車がかかったことも影響し、早い段階で枠が締まったと考えられます。
「H-1Bビザ」変更までにビザがない状態になったら?
申請が認可されても「H-1Bビザ」での就業は、10月1日からです。このため、OPTがその60日以上前に終了してしまう場合は、「H-1Bビザ」への変更日(10月1日)までビザがない状態が生じてしまいます。このビザがない状態=ギャップを失くすために、ギャップ解消法案(キャップギャップ)が設定されています。「H-1Bビザ」申請がOPT終了前に移民局に受理され、その後申請が認可されるか、または、申請中であれば、OPT終了後も10月1日まで滞在と就労許可が自動的に延期されます。その後、「H-1Bビザ」申請が審査で却下されてしまい、OPTの有効期限が過ぎていれば、その時点でOPTは失効します。逆に認可を受けた場合には、「H-1Bビザ」の発効開始日前日である9月30日まで延長されます。OPT終了後60日間のグレースピリオド中の方は、「H-1Bビザ」の認可が取れれば、10月1日以降から労働が可能です。
このキャップギャップ期間中にアメリカを出国してしまうと、キャップギャップが無効になり、「H-1Bビザ」が大使館で発行されてからでなければ、アメリカに入国できなくなってしまいます(「H-1Bビザ」の場合、認可日の10日前からのアメリカ入国が許されていますので、10月1日からの「H-1Bビザ」認可が取れていれば、9月20日以降に入国が可能ということになります)。
また、「H-1Bビザ」申請がグレースピリオド中に提出された場合は、滞在資格は延長されるものの労働許可はすでに終了している状態ですので、OPTとして働くことはできず、自宅待機の状態となります。
「H-1Bビザ」の申請後、卒業校(OPT・「I-20」の発行元)のInternational Student Officeに行き、「H-1Bビザ」の申請を行った事実を伝え、OPT期間延長してもらうよう要請してください。「H-1Bビザ」の申請を行えば、学校のSEVIS(Student and Exchange Visitor Program)のシステムに自動的にその事実が表示される仕組みになっています。しかし、記録のアップデートまでに時間差が生じるため、学校側があなたの「H-1Bビザ」申請の事実を知らず、誤って「I-20」を終了(Complete)させてしまうこともあります。ですから「H-1Bビザ」を申請してレシートが届いたら、必ず卒業校にコンタクトを取ることをおすすめします。OPTが今年の9月30日まで、または、それ以降有効な方は、キャップギャップの必要がありませんので、学校に報告する必要はありません。
(2013年5月16日号掲載)
Q:2012年5月にアメリカの大学でグラフィックデザインで修士号を取得しました。現在、OPT(Optional Practical Training)を取得し、出版社で働いています。これからH-1Bビザの申請について会社と話し合いますが、H-1Bビザ取得は可能でしょうか?また、取得までOPTは延長できるのでしょうか?
A:H-1Bビザ を取得するには、いくつかの条件を満たす必要があります。
①その業種において通常、学士号(あるいはそれに匹敵する経験)以上が要求されること
②その職務が、学士号(あるいはそれに匹敵する経験)以上がないと遂行できない特殊なものであること
③雇用主が、その役職に従事する者に対し、一般的に学士号(あるいはそれに匹敵する経験)以上を必要としていること
④職務内容が専門的かつ複雑であり、その職務を行うには、通常その学士号(あるいはそれに匹敵する経験)以上の知識が必要であること
あなたの場合、雑誌や書籍、ウェブ制作などのレイアウトデザインや写真、イラストの加工など、グラフィックデザイナーとして修士号、またはそれに匹敵する経験が必要と思われます。H-1Bビザの申請自体は問題ないです。
年間発行数上限に達する前に早めの取得準備を
今年度はH-1Bビザの申請が受理されるかどうかが問題になると思います。14年度枠(13年10月1日から14 年9月30日)のH-1B申請が、13年4月1日から開始されます。移民局がその1年間(13年10月1日~14年9月30日)に発給できるH-1Bビザの数は、一般枠が6万5000です。また、修士号枠 (アメリカで修士号、あるいはそれ以上の学位を取得した人に与えられている枠)は2万です。
09年度までは、4月中に申請数が年間発給数を大幅に上回って、抽選で審査が行われていました。しかし10年度以降は、申請数が年間発行数に到達するまでに6カ月以上かかっていました(11年度は11年1月、12年度は11年11月に到達)。しかし、13年度は12年6月に年間発行数に到達しました。これは例年に比べて6カ月も早く枠がなくなってしまったということです。そんな流れから、今年は4月のしかも早い時点で、年間発行数に到達する可能性が非常に高いと考えられるため、早めの申請準備をおすすめします。
弁護士への依頼も早めに開始するように
弁護士事務所への依頼は、申請の2カ月以上前から開始した方がいいと思います。申請のために必要な書類、情報を準備しなければなりません。
H-1Bビザ申請には、労働局から雇用条件の認定(Labor Condition Application)を受け、認可されなければできません。この認可を受けるには、現在約2週間ほどかかります。
また、H-1Bビザのスポンサー会社が今まで、または数年間認可を受けたことがない場合は、会社のTax ID番号の確認のための追加書類を要請されます。それらの書類の提出後、1~2週間ほどでTax ID番号の確認が終わり、それから再度労働局へ雇用条件認可のための申請をしなければなりません。さらにその後、移民局申請の準備となります。ですから、余裕を持って申請2カ月前からの準備をおすすめします。
就業スタートまでにOPTが終了してしまう場合
H-1Bビザの申請は4月1日から開始されますが、申請が認可されても就業をスタートできるのは、10月1日からです。このため、OPTがその60日以上前に終了してしまう場合は、H-1Bビザへの変更日までにギャップが生じてしまいます。そのギャップを埋めるために、「ギャップ解消法案」(キャップ・ギャップと呼ばれる)が設定されています。
H-1Bビザ申請をOPT終了前に移民局に提出し、申請が認可されれば、OPT終了後も10月1日までの滞在と就労許可が自動的に延期されます。しかしその後、H-1Bビザ申請が審査で却下されてしまった場合、OPTの有効期限がその時点で過ぎていれば、OPTは失効してしまいます。逆にH-1Bビザを獲得できた場合は、H-1Bビザの発効開始日前日である9月30日までOPT期間は延長されます。H-1Bビザの申請後にレシートが届いたら、まず自分の卒業校(OPT・I-20の発行元)のInternational Student Officeに行き、H-1Bビザの申請を行った事実を伝え、OPTの期間を延長してもらうよう要請しましょう。
ちなみに、H-1Bビザ申請をOPT終了後60日間のグレースピリオド(猶予期間)中に行うと、滞在資格は延長されるものの労働許可はすでに終了しているため、結果が出るまで待機となります。
(2013年1月16日号掲載)
Q:現在、ある日系の会社でH-1Bビザで働いています。今回、日本のアメリカ大使館でH-1Bのビザを延長しに行こうと思うのですが、昨年飲酒運転で捕まってしまいました。裁判所から提示された条件は、すべて消化したのですが、このような経歴があっても無事、更新できるのでしょうか?
A:飲酒運転自体は、強制送還の対象になる犯罪には含まれませんが、あなたの場合は、まず、飲酒運転で逮捕・有罪となったことが過去に何度あるのか、また、どのような状況下で捕まったのかが問題となります。例えば、飲酒運転であっても4回行うと重犯罪(Felony) となります。飲酒運転は、捕まってから10年以内(以前は、7年間でしたが、2005年1月1日より10年に変更)に再犯すると、犯歴がどんどん加算されていきます。
ここで注意すべきなのは、2回目、3回目に飲酒運転で捕まった場合、その時点から再度、10年の無犯期間がゼロから始まるということです。例えば、1回目に飲酒運転で捕まった後、9年後にまた捕まると、半歴は2回目となりますが、それから9年後に捕まった場合、1回目と3回目の間は、18年間ありますが、3回目として計算されるのです。すなわち、1度も捕まらない期間が10年間続かない限り、半歴が加算され続けるのです。そして、この計算方法により、合計4回の飲酒運転になると、強制送還の対象となるのです。ですから、1度でも飲酒運転で有罪になった場合は、注意が必要です。
さらに注意したいのは、3回目であっても物損事故を起こしていたり、2回目であっても人身事故を起こしているような場合は、強制送還の対象となる可能性があるということです。
強制送還の対象となる犯罪の種類
犯罪には、強制送還の対象となる犯罪(Crime Subject to Deportation)と、強制送還の対象とならない犯罪があります。強制送還の対象となる犯罪は、すべての「重犯罪」および、一部の「軽犯罪(Misdemeanor)」がそれに当たります。軽犯罪の中で、強制送還の対象となるものは、「家庭内暴力(Domestic Violence)」と、「道徳に反する犯罪(Crime Involving Moral Turpitude)」の2つです。
家庭内暴力とは、夫婦間(離婚後の前夫・妻を含む)、あるいは、恋人間における暴力行為のことを言います。 次に、道徳に反する犯罪には、「麻薬に関する犯罪(Controlled Substances)」、「詐欺(Fraud)」、「窃盗(Theft)」および、「暴力に関する犯罪(Crime of Violence)」などが含まれます。また、最近では、10年1月14日の移民局裁判所の判決により、不当に入手したソーシャル・セキュリティー番号を用いて就労した場合も、強制送還の対象となると定められました。
ですから、飲酒運転が1回で、それが強制送還の対象となる犯罪に含まれないからと言って、まったく問題にならないというわけではないのです。
ビザ申請時に犯罪歴があると追加で書類の用意が必要
日本のアメリカ大使館にビザ取得のインタビューに行った際、前記のような過去の犯罪記録は、まず間違いなく明らかになります。また、申請書類にも、今まで犯罪を犯したり、逮捕されたことがあるか否かの質問が記されています。この際、いかなる軽犯罪の記録が出てきた場合であっても、問題視される場合がほとんどであり、その犯罪がどの種のものであったかを証明するのは、申請者側の責任となっています。従って、犯罪記録があくまでも飲酒運転であり、その他の犯罪ではないことを証明しなければいけないのです。
これには、飲酒運転を処理した裁判所からの書類、Police Report、Complaint、Minutes (Probation) Order、Docket Reportsなどを入手しておくことを強くおすすめします。特に、Docket Reports は、最終判決の条件として与えられた内容(アルコールスクール、罰金の支払いなど)をすべて遂行したことの証明となるので、非常に大切です。飲酒運転の判決を受けた裁判所に行けば入手できますので、そこで、Docket ReportsのCertified Copyの発行を依頼してください。そして、これらの書類はアメリカ大使館でのインタビューの際に持参してください。
飲酒運転の場合、以上のことを行った上で、大使館が指定する医師の所に行きます。そして、カウンセリング(診断)を受け、その証明をアメリカ大使館に提出することにより、ビザが発行される場合がほとんどです。従って通常の場合よりも手続きに時間がかかることが容易に予想されますので、日本での滞在期間を通常よりも長く(3週間から1カ月程度)予定しておいた方が良いでしょう。
(2012年12月1日号掲載)
Q:ビザ取得の際、飲酒運転での逮捕歴が影響を与えるというのは本当ですか?
A:A最近国務省は、在外公館に対し、「飲酒運転で逮捕歴があるビザ申請者に対する案内」という公電を発信しました。その内容とは、領事館員は、飲酒運転で逮捕歴がある非移住ビザの申請者を、移民局指定医師へ連絡することを義務づけ、以下の状況に際して、健康診断を受けなければならないとしました。
①過去3年間で、申請者に飲酒運転での前科・逮捕歴があった場合
②期間を問わず、申請者が2回以上の飲酒運転での前科・逮捕歴があった場合
さらに今後、領事館員に対して、ビザ申請者にアルコール依存症の恐れがあると見なされる場合には、移民局指定医師へ連絡することを義務づけています。
この指示は任意のものではありません。例えば、いかなる時でも、公共の場所で飲酒によって逮捕された場合には、この指示が実施される要因となる可能性が高いです。また、この新しいルールで最も注目すべき点は、有罪判決を受けていなくても、逮捕されたことがあるだけでも、適用されるということです。非移民ビザ(H-1B・L-1A・E-2・F-1等)や、永住権の申請の際に行われる領事館でのインタビューに間に合うように、弁護士に相談してください。さらに、申請書にある質問の1つに「逮捕歴」について聞かれますので、署名する際には注意してください。もしも誤って記入された書類に署名した場合、虚偽陳述(不実記載)により裁かれる可能性があり、その場合、生涯米国への入国ができなくなります。これらの問題点を特定できるよう、国務省は今年度末までに、10指すべての指紋採取と、ビザ申請者の犯罪歴を確認する方法の導入に向かって動いています。
(2007年11月1日号掲載)
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