グリーンカード(永住権)申請中に転職するには?

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永住権の認可が下りる前に転職したい場合

吉原 今日子 弁護士

Q:大学でコンピュータサイエンスメジャーを専攻し、学位を取得後、現在はコンピューターソフトの会社で働いています。今の会社で永住権申請のスポンサーをしてもらっていますが、できれば早く退職したいと思っており、すでに転職活動中です。申請が下りる前に辞めた場合、永住権のスポンサーはどうなるのでしょうか?今すぐに辞めても影響はありませんか?

A:永住権の申請をする際、現在の雇用主とスポンサーが必ずしも一致する必要はありません。雇用を通して永住権を申請する場合には、大きく3つの段階があります。
 
第1段階は、「労働認可書(Employment Authorization Document )」の申請です。ここでは、米国内にあなたの希望する職務を勤められるアメリカ人がいないことを証明します。第2段階の「I-140(Immigrant Petition for Alien Worker)」の申請では、スポンサーの会社が、労働局で定められた給料を払うことができるか否かが審査されます。最後の第3段階、「I-485(Application to Register Permanent Residence or Adjust Status)」の申請では、申請者自身が条件を満たしているかの審査が行われます。
 
基本的に永住権のスポンサーの変更はどの段階でも可能ですが、申請の段階によっては、一からやり直す必要がある場合があります。
 
もし現在、第1か第2の申請段階におり、永住権取得後に採用される確約が無い場合や解雇される場合、最初から申請をやり直すことになります。しかし第2段階までの認可が取れていれば、第1段階からやり直しても、1度目の永住権申請の優先日(Priority Date)が適応されます。
 
また、次の3つの全条件がそろっていれば、一から申請をやり直すことなく、優先日も変わらず、永住権のスポンサーのみ変更できます。
 
①第2段階での「I-140」が認可済み
②第3段階の「I-485」を申請してから180日が経過している
③変更先の職種が申請中の永住権の職務内容と類似している
 
さらに、新しいスポンサーによる移民局宛の手紙も求められます。その手紙には、新しい会社での職務内容が、第1、第2段階で申請したときと類似していることを主張をしなければなりません。職務内容が類似しているという点で、労働局からすでに設定された給料と新しいスポンサーでの給料が大幅に違わないことも、審査上での重要な要素です。
 
繰り返しますが、「I-485」の申請から180日以上が経過しているということが重要です。180日未満で現在のスポンサーが移民局に申請の取り下げを行ってしまうと、永住権申請を初めからやり直さなければなりません。

永住権取得直後に退社すると取り下げられる可能性も

永住権を雇用ベースで申請する場合は、永住権取得後も永久的にそこで働く意思を持っている必要があります。ですから、永住権取得後にすぐ会社を辞めてしまうと、永住権を剥奪されてしまう可能性もあります。ほとんどの場合、スポンサーの会社が永住権取得後にすぐ辞めてしまった従業員に対して、移民局に永住権の取り下げを願い出ることによります。
 
あなたもどこかで、「最低1年間働く必要がある」と耳にしたことがあるかもしれません。これは以前判例で、永住権取得後1年で会社を辞めた社員の永住権の取り下げを移民局に申し出たところ、1 年以上会社に勤めていたということを考慮し、移民局が取り下げの申し出を却下したことからきています。しかし、永住権を取得して1年経っているからといって取り下げられないという可能性がないわけではありません。もちろん、解雇、病気、セクハラの被害など仕事を続けられなくなる状況はあります。また、現在の仕事より高額なオファーが別の会社からあった場合、常識的にそれを断ることはないと思います。
 
まれに会社と従業員の両者が永住権取得後の再雇用に合意した上で、申請の途中で退職する場合があります。この場合はどの段階でも、永住権の申請を初めからやり直したり、スポンサーを変更する必要はありません。
 
このように、さまざまな理由がありますので、一概にどのような状況でリスクがなくなるかを断定することはできません。しかし、スポンサーの会社を変更した場合、あなたは「永住権申請時点では永久的に勤める意思があったが、その後予定が変わった」だけで、申請時には会社を辞める意思はなかったことを主張しなければなりません。
 
あなたの場合、「I-140」が認可済みで、「I-485」を申請してから180日が経過していれば、スポンサーの変更が可能です。そうでない場合は、新しい会社で永住権の申請を初めからやり直してもらうか、永住権取得後に現在勤めている会社に再雇用の約束をしてもらうか、あるいは永住権を取ってから辞められた方が賢明でしょう。
 
(2014年8月16日号掲載)

グリーンカードの申請中に転職したい、スポンサーの変更はできますか?

吉原 今日子 弁護士

Q:現在、私は会社を通してグリーンカードを申請中です。しかし、同時に新しい就職先を探しており、今の会社を辞めようと思っています。その場合、途中でグリーンカードのスポンサーを変えなければならないと思いますが、可能でしょうか。

A:グリーンカードのスポンサーを変えることはどの段階でも可能ですが、申請のどの段階にいるかによって、申請を初めからやり直さなければならない場合があります。しかし、今働いている会社を辞めたとしても、グリーンカードが取れた段階でその会社に再度採用されるのであれば、どの段階にいても申請を初めからやり直す必要はありません。また、グリーンカードを今の会社Aで申請し、会社Aに戻る前提でいったん別の会社Bで働く場合、スポンサー変更の必要はありません。現在の雇用主とグリーンカードのスポンサーが一致する必要はないからです。

雇用を通した場合のグリーンカード申請ステップ

雇用を通したグリーンカード申請は、大きく3つのステップに分かれます。まず第1ステップは、「Labor Certification」(労働局の審査で「PERM」と呼ばれる)です。これは、アメリカ国内に希望する職務を務められるアメリカ人がいないことを証明する審査です。第2ステップ(I-140)では、スポンサーである会社が、労働局で定められた給料を払うことができるかの審査。第3ステップ(I-485)は、申請者自身が条件を満たしているかの審査が行われます。
 
もし、現在第1ステップ、または第2ステップの申請段階にいてグリーンカード取得後も採用される約束がなく解雇される場合、第1ステップから申請をやり直すことになります。しかし、第2ステップの認可が取れていれば、第1ステップからやり直しても、1度目の永住権申請における優先順位(移民局が誰に優先してグリーンカードを与えるかという順位)を取り戻すことができます。
 
第1ステップからやり直すことなく優先順位を維持したままグリーンカードのスポンサーを変更するには、以下の3つの要素が絶対条件となります。
 
①第2ステップでの「I-140」が認可済みであること
②第3ステップの「I-485」を申請してから180日が経過していること
③変更先の職種が、申請中の永住権の職務内容と類似していること
 
以上の条件を満たした上で、新しいグリーンカードスポンサーからの移民局宛の手紙を移民局に提出する必要があります。その手紙では、新しい会社での職務内容が、第1、第2ステップで申請した時と類似しているということに加え、労働局からすでに設定された給料と新しいスポンサーでの給料が大幅に違わないことが主張されていないといけません。さらに、「I-485」を申請して180日経過していることも重要です。180日未満での申請で、現在のスポンサーが移民局に申請の取り下げを行ってしまうと、初めからやり直さなければなりません。
 

すぐに会社を辞めてしまうとカード剥奪の可能性も

グリーンカードを雇用ベースで申請する人は、グリーンカード取得後も、永久的にその会社で働く意志が必要です。ですから、グリーンカード取得後すぐに会社を辞めてしまうと、グリーンカードを剥奪される可能性があります。これはほとんどの場合、スポンサー会社がグリーンカード取得後すぐ辞めてしまった従業員に対して、移民局にグリーンカードの取り下げを願い出ることから発生します。以前の判例で、ある会社がグリーンカード取得後1年で会社を辞めた社員のグリーンカードの取り下げを移民局に申し出たところ、1年以上会社に勤めていたことを考慮し、取り下げ申し出が却下されました。このことから、勤め始めてから1年経っていれば大丈夫などとも言われていますが、それも絶対ではありません。
 
もちろん、解雇、病気、セクハラなど、仕事を続けられなくなる状況はあります。また、高額なオファーが別の会社からあった場合、常識的にそれを断ることはないと思います。会社を辞めるのにはさまざまな理由があり、一概にどうしたらグリーンカードを失うか断定はできません。ただ、会社変更をした場合、あなたは「グリーンカード申請時点では永久的に勤める意志があったが、その後、予定が変わった」ことを証明しなければなりません。
 
第2ステップの「I-140」が認可済みで、第3ステップの「I-485」を申請してから180日が経過していれば、グリーンカードスポンサーの変更はできます。さもなければ、新しい会社で申請を初めからやり直してもらうか、グリーンカード取得後に再雇用の約束を取り付けるか、あるいは今の会社でグリーンカードを取ってから辞められた方がいいと思います。
 
(2013年3月16日号掲載)

永住権申請中の転職 スポンサーの変更は可能?

吉原 今日子 弁護士

Q:現在働いている会社で、永住権を申請中です。同時に転職活動中で、新しい職場が見つかり次第、今の会社を辞めようと思っています。その場合、永住権のスポンサーを変えなければならないと思いますが、可能でしょうか?それとも永住権が取れた後に辞めた方がいいのでしょうか。

A:永住権(グリーンカード)のスポンサーを変えることは、申請手続きのどの段階でも可能ですが、申請プロセスのどの段階にあるかによっては、申請を初めからやり直さなければならない場合があります。
 
雇用を通しての永住権申請の場合、大きく分けて3つのステップがあります。
 
第1 ステップは、「Labor Certification」(労働局の審査- PERMと呼ばれるもの)です。これは、米国内に希望する職務を務められるアメリカ人労働者がいないことを証明する審査です。
 
第2ステップ(I-140)では、スポンサーである会社が、労働局で定められた給料を払うことができるかどうかという審査です。
 
最後の第3ステップ(I-485)では、申請者自身が申請条件を満たしているかの審査が行われます。
 
あなたの場合、現在勤務中の会社を辞めたとしても、永住権が取れた段階で、あなたを再雇用するということであれば、どの段階でも永住権の申請をやり直す必要はありません。その場合、永住権のスポンサーを変更する必要はありません。というのは、現在の雇用主と永住権のスポンサーが一致する必要がないからです。
 
もし現在、申請段階の第1、または第2ステップで、永住権取得後に今の会社に再雇用される約束がない場合、転職すると、第1ステップから申請やり直しになります。
 
申請をやり直すことなく、しかも現在のPriority Date(申請優先日)を維持したまま永住権のスポンサーを変更するには、以下の3つの要素が絶対条件となります。
 
①第2ステップの「I-140」が認可済みである
②第3ステップの「I-485」申請後、180日が経過している
③転職先の職種が、申請中の永住権の職務内容と類似している
 
以上の条件を満たした上で、永住権のスポンサーを変えたい時に必要となるものは、新しいスポンサーからの移民局宛の手紙です。その手紙では、上記③を主張し、職務内容が類似しているという点で、労働局からすでに設定された給料と新スポンサーでの給料が大幅に違わないことが、審査上の重要な要素となります。
 
また、上記②も重要です。180日未満での申請の場合、現在のスポンサーが移民局に申請取り下げを行うと、初めからやり直さなければなりません。
 

永住権取得後も勤務する意志表明が大事

永住権を雇用ベースで申請する人は、永住権取得後もスポンサー企業で働く意志を持っている必要があります。ですから、永住権取得後すぐに辞めると、永住権を剥奪される可能性もあります。これはほとんどの場合、スポンサー企業が、永住権取得後すぐに辞めた従業員に対し、移民局に永住権の取り下げを願い出た場合です。
 
「永住権取得後も最低1年間働く必要がある」という話を聞いたことがあるかもしれません。これは、永住権取得後1年で会社を辞めた社員の永住権取り下げを移民局に申し出たところ、取得後1年以上勤めたことを考慮し、取り下げの申し出を移民局が却下したという前例からきています。しかし、1年経っているからといって剥奪されないという保証はありません。
 
もちろん、解雇やセクハラ行為、また病気になったりなど、仕事を続けられなくなる状況はあります。また、現在より高額な給与のオファーが別会社からあった場合、それを断ることはないと思います。一概にどのような状況であれば剥奪のリスクがなくなるか断定することはできませんが、スポンサー会社の変更をした場合、「永住権申請時点では、ずっとスポンサー企業に勤める意思があったが、その後状況が変わった」ということを主張する必要があります。
 
あなたの場合、「I-140」が認可済みで、「I-485」を申請してから180 日が経過していれば、申請をやり直すことなくスポンサー変更ができます。
 
そうでない場合は、新会社で永住権申請を初めからやり直す、または、永住権取得後に元の職場で再雇用してもらう約束を取り付ける、あるいは、永住権を取ってから転職する方が良いでしょう。
 
(2011年12月16日号掲載)

グリーンカード申請途中での転職申請はやり直しになる?

吉原 今日子 弁護士

 

Q:現在、勤務している会社でグリーンカードを申請中ですが、会社の経営状態があまり良くないので、解雇される可能性があります。そうなる前に転職先を探して、今の会社を辞めようと思っています。その場合、グリーンカードのスポンサーを変えなければならないと思いますが、可能ですか?それとも、今の会社でグリーンカードを取得した後に、転職した方がいいのでしょうか?

A:グリーンカードのスポンサーを変えることは、申請プロセスのどの段階でも可能です。しかし、グリーンカード申請プロセスのどの段階にいるかによって、申請を最初からやり直さなければならない可能性があることを理解してください。
 
現在働いている会社の経営状態が悪く、解雇されるかもしれないということですが、グリーンカードが取得できた時点で、再雇用してもらえるのであれば、現在、申請のどの段階にいても、初めからやり直す必要はありません。同様に、スポンサーを変更する必要もありません。というのは、現雇用主とグリーンカードのスポンサーが一致する必要がないからです。
 
雇用を通してのグリーンカード申請には、大きく分けて3つのステップがあります。第1ステップは、「Labor Certification」です。アメリカ国内に希望する職務を務められるアメリカ人が存在しないことを証明する審査です。第2ステップ(I-140)は、スポンサー会社が、労働局で定められた給与を支払うことができるかという審査です。最後の第3ステップ(I-485)として、申請者自身が条件を満たしているかの審査が行われます。
 
もし現在、第1ステップ、または第2ステップの段階にいて、グリーンカード取得後に再雇用される保証がない状態で解雇された場合、最初から申請をやり直すことになります。
 
申請を最初からやり直すことなく、グリーンカードのスポンサーを変更するには、以下の3つの要素が絶対条件となります。
① 第2ステップで、I-140 が認可済み
② 第3ステップのI-485 を申請してから180日が経過している
③ 転職先が、現在申請中のグリーンカードの職務内容と類似した職種
 
以上の条件を満たした上で、グリーンカードのスポンサーを変える際に必要となる物は、新しいグリーンカードのスポンサー(転職先)からの移民局宛の手紙です。その手紙では、転職先での職務内容が、第1、第2ステップで申請した職務と類似していることを主張しなければなりません。さらに、労働局から設定された給料と転職先での給料が大幅に違わないことも、審査上での重要な要素となります。
 
なお、I-485申請後180日未満の場合、現在のスポンサーが移民局に申請取り下げを行ってしまうと、初めからやり直さなければなりません。
 

グリーンカード取得後も同一会社での勤務が前提

なお、グリーンカードを雇用ベースで申請する人は、グリーンカード取得後も恒久的にスポンサー会社で働く意志を持っている必要があります。ですから、グリーンカード取得後、すぐに会社を辞めてしまうと、グリーンカードを剥奪される可能性があります。グリーンカード取得後も、最低1年間は同じ会社で働く必要があると聞いたことがあるかもしれません。これは、グリーンカード取得後1年で会社を辞めた社員のグリーンカード取り下げを、スポンサー会社が移民局に申し出たところ、取得後1年以上勤めていたことを考慮し、移民局がその要請を却下した判例から来ています。
 
しかし、取得して1年以上経っているからといって、必ずしも剥奪されないというわけではありません。もちろん、解雇されたり、病気になったり、セクハラ行為をされたなど、仕事を続けられなくなる状況はあります。また、現在の仕事より高額なオファーが別会社からあった場合、常識的にそれを断ることはないと思います。
 
さまざまな理由がありますので、一概にどのような状況でリスクがなくなるかを断定することはできません。しかし、転職した場合、あなたがグリーンカード申請時点では恒久的に勤める意思があったが、その後、状況が変わったというように、申請時に会社を辞める意思がなかったと、主張しなければなりません。
 
第2ステップのI-140が認可済みで、第3ステップのI-485申請後180日が経過していれば、スポンサー変更ができます。そうでない場合は、転職先の会社でグリーンカードを初めから申請し直してもらうか、現在の会社にグリーンカード取得後、再雇用してもらう約束をしてもらうか、グリーンカード取得後に転職することをおすすめします。
 
(2009年11月16日号掲載)

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