大学の合否先送り戦略(2)受験生が取るべき対応

ライトハウス電子版アプリ、始めました

(LA版2022年4月16日号掲載)

大学の思惑

大学は、ボーダーラインの学生の合否をすぐに決めず、ウェイトリストに載せる、アーリーデッドラインからレギュラーデッドラインに先送るなどで、時間をかけて学生を選ぶようになったと前回お話ししました。今回は、受験生が取るべき対応方法を解説します。

大学が合否判断を先送りする目的の一つが、入学意思の見極めです。大学は、入学率(歩留まり)を上げるため、合格通知を出したら入学してくれそうな学生を優先的に選びたいと考えています。入学率とは、合格通知を出した学生に対する入学者の割合です。この数値は大学ランキングに関わるので、各大学は力を入れています。大学ランキングは重要なマーケティングツールです。ランクが少し上がるだけで、アプリケーションが増えたり、優秀な学生を獲りやすくなったりします。

極論を言えば、合格圏の中でも下位の学生は、誰を選んでも大学にとっては大差ありません。入学しそうな学生を優先的に選ぶことで、入学率が上がるなら、それがベストな選択だと大学は考えます。多くの大学は、ウェイトリストに学生を載せる時点で、ウェイトリストの中の順位は付けていません。リストに載せた後の学生の様子を見ながら順位を決めます。その大学に行きたい意思表示を積極的に行う学生の順位は高くなり、何の反応もない学生の順位は低くなります。

進学の意思を示す

ウェイトリストに載った受験生が最初にやるべきは、進学の意思を示すことです。大学からウェイトリストの連絡と共に、ウェイトリストに載ることを承諾するかを聞かれるので、同意して入学審査の継続を希望します。入学審査の継続を希望する場合、追加情報の提出が可能と大学から伝えられるはずです。まずは担当者にメールを送り、ウェイトリストに載せてもらったお礼と、その大学への進学を強く希望していることを伝え、再評価を依頼します。なぜその大学が自分に適しているのか、自分がその大学にどんな貢献ができるのか、この2点を抑え、自分が大学にとって価値のある学生であると伝えることがポイントです。

すでに堤出したアプリケーションに書いたことを再度伝えることは可能です。また、アプリケーションに書かなかった情報や、アプリケーションの堤出後に達成したことがあれば、それも簡潔に伝えます。追加の推薦状が用意できれば、それを送るのも効果的です。アーリーデッドラインからレギュラーデッドラインに先送りされた場合も、対応方法は基本的にウェイトリストの場合と同じです。大学からレギュラーデッドラインでの入学審査を承諾するかと聞かれるので、同意した上で追加の情報を提示して、再評価を依頼します。

繰り上げ合格の時期

受験生は、合格した大学の中から進学する大学を1校決め、5月1日までにデポジットを納め、大学の籍を確保します。したがって、各大学は5月1日時点で入学する学生数が確定しますが、その時点で定員に達しない場合は、ウェイトリストから学生を繰り上げます。

ウェイトリストからの繰り上げは、5月1日前後から1週間以内に行われる場合がほとんどです。大学からウェイトリストに載せた連絡はありますが、ウェイトリストがクローズした連絡を受けることはほとんどありません。5月1日から1週間経っても連絡がなければ、その大学とは縁が無かったと考えましょう。

また、ウェイトリストから合格したらファイナンシャルエイドは期待できない、と決めつけるのは早計です。ウェイトリストからの繰り上げ合格で、奨学金を得られるケースは多々あります。もちろん、ウェイトリストから合格を勝ち取ったり、さらに多額の奨学金を得たりするのは決して楽なことではありませんが、少なくとも合格に足る学生との評価は得ているわけですから、自信を持って大学に自分を売り込みましょう。

合否先送り戦略は、大学にとってメリットが大きいため、今後もこの傾向は続くと考えられます。ウェイトリストに載ると、受験生は一手間増えることになりますが、新たに自分を売り込む機会を得たと考えて、このチャンスをぜひ大いに活用してください。(2022年4月16日号掲載)

ライトハウスLA版4/16号の電子版はこちらから
ライトハウスLA版4/16号の目次はこちらから

海外に暮らす学生のための「日本の大学への進学&留学ガイド」サイト

「アメリカ大学進学ガイダンス」のコンテンツ