(2024年8月号掲載)
大学のアドミッション担当者は、入学審査の際に、受験生のソーシャルメディアをチェックするのでしょうか?教育サービス会社のKaplanが2023年に実施した調査によると、アドミッション担当者の28%が、Instagram、TikTok、YouTube、Threadsなどを利用して、志願者のソーシャルメディアの投稿をチェックしたと答えています。
28%が多いと感じるか、少ないと感じるかは、人それぞれですが、67%のアドミッション担当者が、入学審査において受験生のソーシャルメディアをチェックすることが「公正な手段である」と回答しているのは、とても興味深いです。
「隠すものがない」から「見せるものがある」へ
ソーシャルメディアは匿名ではない、一度投稿した内容は消えないなど、最近の高校生はソーシャルメディアの特性をよく理解しているようです。私が進学指導を行う際、ソーシャルメディアについて質問すると、多くの高校生は「大学に見られて困るような投稿はしていない」と答えます。
ソーシャルメディアが自分の進学に不利にならないよう細心の注意を払うことは大いに結構ですが、先手を打ってソーシャルメディアで自分を積極的に見せに行く戦略を検討してはいかがでしょうか。ソーシャルメディアを通じて自分を上手にマーケティングできれば、アドミッションを有利に進められるかもしれません。
大学向けのプロフィールを作成する
受験生が大学と共有すべきコンテンツは、友人や仲間と共有したいコンテンツとは異なります。ソーシャルメディアを通じて仲間とコミュニケーションを取ることを犠牲にする必要はありません。個人的な活動とは異なる場所で、大学に見せるコンテンツを一から作り上げれば良いのです。Facebook、X、LinkedInなど、高校生があまり使わないプラットフォームを利用し、大学向けのプロフィールを構築することをお薦めします。
ソーシャルメディアは、高校生が日々取り組んでいることを見せる上で大いに役立ちます。日々の学習への取り組みや、特に関心の深い分野について言及したり、将来の目標について語ったりすることで、自分の学習意欲を大学に伝えられます。
学校のイヤーブック作成、ロボティックスの大会出場、コミュニティーでのボランティア活動など、課外活動に力を入れている高校生は、自分の成果をソーシャルメディアで発信しましょう。自分の性格や成長を大学に示せます。
アスリートなら満足の行くプレーができた動画を、美術や音楽に取り組む生徒は自分の作品をソーシャルメディアに載せれば、自分の強みを示すデジタルポートフォリオになります。
大学に見せる仕掛け作り
並行して大学とつながるための仕掛け作りにも取り組みます。まずは、メールアドレスの準備。進学準備においてメールアドレスは極めて重要です。大学進学準備で使用するメールアドレスを新たに用意することをお薦めします。“firstname.lastname@gmail.com” のように、自分の名前が容易に分かるものが良いでしょう。そしてメールのPrefixを“@firstname.lastname” のようにソーシャルメディアのユーザー名として使います。
準備が整ったら、大学とつながりましょう。ほとんどの大学はソーシャルメディアで情報発信をしています。大学のLinkedInやXのアカウントをフォローします。ソーシャルメディアを通じて質問をするなど、大学と双方向のやり取りができると、さらに効果的です。また、大学のメーリングリストに登録するのも良い方法です。
大学にアプライする際には、アプリケーションの中で、自分のソーシャルメディアのURLを示します。アドミッション担当者が、自分のことをもっと知りたいと思ったとき、他の受験生と差別化できる情報をソーシャルメディアで提供できれば、アドミッションで有利になる可能性が高いです。
パンデミック以降、有名大学への進学はますます難関化しています。他の学生と差別化を図る方法の一つとして、ソーシャルメディアの積極活用を検討してみてはいかがでしょうか。
(2024年8月号掲載)
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