(2023年5月号掲載)
「大学進学準備は、いつから始めたら良いですか」とよく聞かれます。一概には言えませんが「一般的には10年生が終わったら」とアドバイスをしています。大学のアドミッションで最も重視されるのが11年生の成績です。高校4年間の成績全てが評価の対象となりますが、現実的に評価される最後の成績は11年生です。また、大学のリストアップと絞り込みを行うのも11年生です。11年生は高校の学習と大学選びを並行して進めるので、進学準備で最も大切な時期と言えます。今回は、10年生が終わった後の1年間にやるべき三つの準備についてお話しします。
1. 将来の進路を考える
10年生の終了時点で、将来の進路がはっきりしている高校生は決して多くありません。しかし、将来について考えることは大切です。
大学は、未来を切り開く力を身に付ける場所です。従って、大学で何を学び、どのようなスキルを習得したいのかを考えることが第1ステップです。アメリカの大学は、原則、進学後も学部や学科を変更できるので、大学にアプライする際に必ずしも専攻が決まっている必要はありません。ただし、建築、看護、映画制作など、専攻を有する大学が限られている分野を選ぶ場合は、専攻を考慮した大学選びが必要となります。
大学は、共同生活や課外活動などを通じ、人間として成長する場でもあります。アスリートとしてスポーツを続けたい、学内組織でリーダーシップを発揮したい、学んだスキルをリサーチやインターンシップなど社会で生かしたいなど、大学はさまざまな学生に活躍の場を提供しています。自分の成長に役立つ理想のキャンパスライフを思い描くことも、重要な進学準備です。
2.日々の学習に注力する
大学のアドミッションでは、その大学で学ぶのに十分な学力を有しているかが審査されます。もし、9年生や10年生の成績が不本意でも、11年生で満足のいく成績を収められれば、学習意欲が高まり、学力が付いたとアドミッションで高く評価してもらえます。
高校の成績は、必ずしも全科目でAを目指す必要はありません。得意・不得意は誰にでもあり、学業以外の活動に取り組む高校生は多く、日々の学習にかけられる時間は限られています。大切なことは、自分にとって満足のいく成果を上げられるかどうかです。
AP(Advanced Placement)やIBディプロマ、デュアルエンロールメントなどの早期履修プログラムを選択する場合も、11年生まで学んだ分については、その成績をアドミッションに提示が可能です。大学レベルのコースを履修し、きちんと成績を残せれば、大学で学ぶ準備ができているとアドミッションから高く評価されます。
3.大学を訪問する
10年生が終わった夏休みや、11年生の春休みは、大学訪問に絶好の機会です。実際にキャンパスに足を運んで施設を見学し、学生と話すことで、大学への理解が深まり、進学準備を進める上での動機付けになります。
訪問する大学は、最初はあまり難しく考える必要はなく、近所の大学や、旅行先にある大学など、行きやすいところからで構いません。訪問する際は、必ずキャンパスツアーに参加してください。キャンパスツアーは通年で行われ、ほとんどの大学ではオンラインで予約が可能です。
訪問する大学が1校決まったら、その周りの大学も合わせて訪問しましょう。できれば、私立、州立、規模の大小など、さまざまなタイプの大学を訪問して、比較検討できると理想的です。大学を探す際は、カレッジボードの大学検索サービスを利用すると便利です。見学が難しい遠くの大学は、オンライン・サービスを利用しましょう。パンデミック以降、各大学はバーチャルツアーやオンラインの学校説明会を充実させました。
とはいえ、実際に訪問するのがベストなのは言うまでもありません。大学との相性はウェブサイトだけでは分かりませんが、キャンパスを訪問して学生やスタッフと話をすると、はっきり感じられるはずです。その大学が本当に自分に合っているかどうか、ぜひご自身で判断してください。
(2023年5月号掲載)
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