CoalitionとCommon Appの違い

ライトハウス電子版アプリ、始めました

(LA版2022年9月16日号掲載)

アメリカの大学にアプライ(志願)する際、複数の大学で共通で利用できるアプリケーション・サービスを利用する場合が多く、中でも、最も多くの大学に採用されているサービスがCommon App(www.commonapp.org)です。

しかし、共通アプリケーション・サービスはCommon Appだけではありません。2016-17年度から、Coalition(www.coalitionforcollegeaccess.org)という共通アプリケーション・サービスが導入されました。約10年前に全米の名門大学のアドミッション担当者が「Coalition」というグループを作り、新たな時代にふさわしいアドミッションの方法について検討し、そこから生まれた新たな共通アプリケーション・サービスです。Coalitionは、新たに追加された選択肢と言えます。

Coalitionにはアイビー・リーグの各校や全米の主要なリベラルアーツ・カレッジ、州立大学などが加盟しています。22年8月時点で私立128校、公立45校が加盟しています。

Coalitionは22年の夏にリニューアルし、Scoir(www.scoir.com)と連携しました。Scoirは、大学を目指す高校生が大学を調べたり、大学の担当者とやりとりをしたりできるサービスで、高校生や保護者は無料で利用できます。CoalitionとScoirの連携により、ScoirのアカウントからCoalitionの加盟大学に、直接アプリケーションを提出できるようになりました。

*UWは2003年秋入学以降、Coalitionを止めてCommon Appを採用予定。
**ApplyTexasは、テキサス州にある州立大学、私立大学、コミュニティーカレッジなどを受ける際に使用可能な共通アプリケーション・サービス。

潜在学生の掘り起こし

CoalitionのScoir導入の狙いは、潜在学生の掘り起こしです。低所得・低学歴の家庭で育った子どもは学習や進学準備の支援が受けにくく、高い潜在能力を十分発揮できない学生が多数いることは問題視されてきました。そのような学生は、周囲が少し手を差し伸べることで大きく成長できます。

Coalitionは単なる共通アプリケーション・サービスではなく、高校生が大学のアドミッション担当者やハイスクールのカウンセラーなどから支援を受けやすくするためのプラットフォームも提供しています。低所得・低学歴の家族を支援することで、従来のアプリケーションでは見過ごされがちな金の卵を見つけることが可能となります。

Common Appとの使い分け方

Common Appは、1998年にオンラインによる共通アプリケーション・サービスを開始しました。22-23年度は、全米950校の大学で採用され、圧倒的な大学数がCommon Appの強みです。Coalitionが画期的であることは間違いありませんが、どちらかひとつを選ぶのであれば、Common Appを選ぶ方が無難です。また、Common Appでアプライできる大学は最大20校です。20校以上にアプライしたい場合はCoalitionも使うことになります。

Common AppとCoalitionは、アプリケーション自体の共通点が多く、両方を並行して準備することは難しくありません。どちらもエッセイを提出することになります。エッセイのトピックは似ており、文字数も、Common Appは650字以内、Coalitionは500~650字程度と、ほぼ同じです。

First-generation Student(両親が4年制大学を卒業していない学生)や、外部の進学指導を受けるのが経済的に難しい場合は、Scoirを利用して、大学の担当者などからアドバイスを得るのが良いでしょう。自分の高校がScoirを利用している場合は、Scoirを通じて高校のカウンセラーの支援を受けることも可能です。一般的には、Common Appで優先的に準備し、必要に応じてCoalitionを組み合わせるという使い方をおすすめします。(2022年9月16日号掲載)

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