2024-25年度アドミッションテスト最新情報

ライトハウス電子版アプリ、始めました

(2024年6月号掲載)

アプリケーションの増加

アメリカの大学の入学審査でアドミッションテストが出願要件の場合、ACTかSATどちらか片方のスコアを提出します。パンデミックの影響で2020-21年度はACTやSATの受験が難しい学生が急増し、ほとんどの大学でテストスコアの提出を必須条件から外すテスト・オプショナルとなりました。

テスト・オプショナルによって大学のアプリケーションは急増しました。アプリケーションのプラットフォームを提供するCommon Appによると、パンデミック前の19-20年度と比べ、23-24年度のアプリケーション総数は約4割増となっています。特に、マイノリティーや低所得者層で増加しています。

一部でアドミッションテストが復活

しかし、アプリケーションの急増により、一部の大学ではアドミッション担当者の負担が増え過ぎて深刻な問題となっています。Massachusetts Institute of Technology(MIT)は20-21年度にテスト・オプショナルを採用し、アプリケーション数が前年度から66%も増えました。

MITのような超難関校は、欲しい学生を逃すことなく、アプリケーション総数を減らしたいのが本音です。MITは23-24年度からアドミッションテスト要件を復活させ、アプリケーション数を前年比で20%減らしました。これを受け、アイビーリーグの一部などはアドミッションテストを必須にしました。一方、Columbia、UPenn、Princetonのようにテスト・オプショナルを継続すると明言する大学もあります。

アドミッションテストの価値

アドミッションテストは、基礎学力を測るツールのひとつとして活用されてきました。しかし、難関大学がアドミッションテストを復活させた目的が受験者数減という点は注目すべきです。

テスト・オプショナルが広まった背景に、アドミッションにおいてテストの占める割合が下がっていることが挙げられます。学力評価の基本は高校の成績なので、高校で十分な成績を収めていれば、テストで示すべきものはほとんどありません。全米のアドミッション担当者に行った調査でも、テストの重要性は低いと裏付けられています。

アドミッションテストの点数は、マイノリティーや低所得者層で低くなる傾向があり、テストの義務付けは公平性を欠くと以前から指摘されていました。University of California(UC)は、19年にテストが必須なのは差別であると訴えられ、20-21年度からテスト・ブラインドを導入しています。これによりUC各校もアプリケーションが急増し、担当者の負担が増していますが、アドミッションテストの復活は考えにくいです。大多数の大学はテスト・オプショナルを続けると明言しています。

大学にアプライするためにテストを受けることに意義はありますが、テスト対策に時間やお金をつぎ込むのは本末転倒です。あくまでも、高校で満足のいく成績が残せるよう、日々取り組むことをお薦めします。

(2024年6月号掲載)

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