ACTとSATの動向
アメリカの大学では、入学審査の際にアドミッションテストと呼ばれるACTまたはSATの成績の提出を求められる場合が多くあります。アドミッションテストが出願要件の場合、ACTかSATどちらかのスコアを提出することになります。
2012年以降、ACTを受験する生徒が増えていますが、SATは2016年夏に新テストに移行してから少し盛り返しました(表1)。ACTとSATの両方を受験し、より良い成績を残せた方の点数を提出しようとする学生も少なくありません。テストとの相性は人によって異なるため、自分に合うテストでスコアアップを目指すのは理にかなっています。
ACTとSATは全く違うテストで、ACTは36点満点、SATは1600点満点と採点法も異なるので、単純に点数だけを比較することはできません。そこで、ACTとCollege Boardは、両方のテストを同時期に受けた学生のデータを基に、スコアの換算表を作成しています。2018年6月に換算表の最新版が公開されました(表2)。
テストオプショナルの導入
シカゴ大学は、学部のアドミッションでACTまたはSATのスコアの提出を任意とするという、いわゆる「テストオプショナル」の方針を導入することを、2018年6月に発表しました。
難関リベラルアーツカレッジを含む数多くの大学が、今世紀に入ってからテストスコアの提出を受験要件から外しました(表3)。しかし、シカゴ大学のような世界でもトップレベルの研究系大学がテストオプショナルを導入したのは初めてで、大きく注目されています。
テストオプショナル拡大の背景として、アドミッションにおけるテストの占める割合が下がっていることが挙げられます。アドミッションテストは、学生が大学で学習するのに十分な基礎学力があるかを判断するツールとしての利用価値はあります。とはいえ、学力評価の基本は高校の成績であり、高校で十分な成績を収めている学生にとって、あえてテストの結果で示すべきものは、あまりありません。シカゴ大学の判断は極めて真っ当であり、他の難関研究系大学の中でも、アドミッションテストの要件を再検討する動きがでてくると思われます。
テストオプショナルは、提出が任意ということで、テストスコアが一切評価されないわけではありません。スコアを提出すれば、見てもらえるので、満足のいくスコアが得られた場合は、提出するべきです。
また、アスリートとして大学進学を目指す学生は、テストスコアが必要となる場合がありますので、ACTまたはSATの準備を早めに始めることをおすすめします。
(2018年7月16日号掲載)