AP(Advanced Placement)プログラムの概要

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アメリカの高校に進学すると、多くの生徒はAP(アドバンスト・プレイスメント)コースを履修するかどうかの選択に迫られます。APコースで良い成果を上げると、大学進学で有利になる一方で、学習への負荷も大きくなるため、自分にとってベストな履修方法を検討する必要があります。今回は、高校で提供されるAPプログラムについてご説明します。

 

APプログラムとは

APプログラムとは、高校在学中に、大学の入門レベルのカリキュラムが学べるプログラムです。SATで知られるアメリカの非営利団体「カレッジボード」によって運営され、IB(国際バカロレア)と同様に、学習への高い意欲を示す高校生を対象とした高度な教育プログラムとして、世界的に認知されています。
 
APプログラムでは、英語の読解・作文、微積分、アメリカ史など、全部で38のコースを用意しています。APプログラムを採用する高校は年々増え、2016~17年度は、約2万2000校で274万人の高校生が履修しました。履修者は5月初旬にAPテストを受け、5段階(5が最高)で評価されます。

 

入学審査における価値

アメリカの高校生がAPコースを履修する目的のひとつとして、大学進学を有利に進めることが挙げられます。
 
APコースを履修する学生は、実際に大学で学習をする際に必要となるさまざまなスキルを身に付けられます。カレッジボードによると、高校でAPコースを履修した学生は、そうでない学生と比べると、大学でより高い成果が得られるそうです。 そのため、アメリカの大学はAPコースにチャレンジする高校生を、入学審査で高く評価します。例えば、南カリフォルニア大学のアドミッションの基準には、「APまたはIBのクラスが高校で提供されている場合は、履修すべきである」と明記しています。
 
APプログラムは、アメリカの大学だけではなく、ヨーロッパの大学からも評価されています。例えば、アメリカからイギリスやオランダの大学のような3年で卒業できる大学に留学するには、アメリカの大学レベルの一般教養をある程度学んでいることが受験資格となっているため、高校卒業後すぐに進学することは難しいです。しかし、APプログラムの3つのコースで3以上の成績を収めると、高卒でも受験資格を得られます。ヨーロッパの大学に進学するためにはIBディプロマが必要だとよく言われますが、実はAPコースの成績もきちんと評価してもらえるのです。

 

大学教育における価値

APプログラムは大学レベルのカリキュラムなので、一定の成績を収めると、アメリカの大学で単位として認定されます。単位の認定方法は、大学により異なります。APテストの結果が3以上の場合は、単位として認定される可能性がありますが、学力を重視する大学では4以上を要求する場合が多く、中には5以外の成績は単位として認めない大学もあります。
 
履修したAPコースが大学の単位として認定されなくても、APコースの成績は学力の評価に活用されます。つまり、APコースで履修したクラスと同等レベルのクラスを大学で履修する必要はなく、上位クラスから履修を始められるのです。この場合、大学で履修する単位数が減るわけではありませんが、自分が取りたいクラスの履修に時間を割けるため、学生にとって価値はあるでしょう。
 
一般的に、アメリカの州立大学はAPコースの単位認定に積極的です。背景には、大学運営において予算の制約で一般教養コースに十分な教員を配置できないという、州立大学特有の問題があります。

 

APコースの履修方法

APコースは、数多く履修すればよいわけではありません。例えば、履修者の多い読解・作文やアメリカ史のコースで4以上の成績を収める学生は3割にも満たないのが実情です。また、大学レベルのコースだから、成績が良くなくても仕方がないという考えも通用しません。せっかくAPコースを履修しても、テストで結果を残せなければ、入学審査での評価にはつながらず、また大学の単位としても認定されません。
 
自分の得意科目や将来の進路に役立ちそうなAPコースを優先的に取ることをお勧めします。1年間に履修するAPコースの数も、余裕を持って取り組める程度に抑えるべきです。そして、5月のAPテストで4以上が取れるよう、計画的に日々の学習に取り組みましょう。
 
(2018年5月16日号掲載)

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