アメリカの大学への出願時期は11月から1月の間が一般的です。複数の出願締切を設定している大学が多いため、受験生はどの締切で出願するのかをきちんと管理する必要があります。今回は、早期締切を活用したアプリケーション戦略についてご説明します。
一般締切と早期締切
締切には、一般締切(Regular Deadlines)と早期締切(Early Deadlines)があり、一般締切のみを採用する大学と、両方を併用する大学があります。一般締切は年明けすぐに設定されている場合が多く、合否の結果は3月末までに得られるのが一般的です。
早期締切の多くは11月初旬に設定されています。締切時期が早い分、合否の通知時期も早く、年内に結果が分かる場合が多いです。同じ大学を一般締切と早期締切の両方で出願することはできませんが、どちらで出願するかは受験生が選択できます。早期締切は私立大学で広く活用されていますが、ミシガン大学やイリノイ大学など一部の難関州立大学でも採用されています。
2種類の早期締切
早期締切には、Early Decision(ED)とEarly Action(EA)の2種類があります。どちらも締切が早く、結果も早く分かるという点は同じですが、EDには「合格したら必ず進学する」という制約条件がつきます。そのため、EDで出願できるのは1校のみです。
これに対して、EAには制約条件はないので、同時に複数校出願できます。実際に進学するかどうかは、一般締切で受けた大学の結果が出揃った後に決められます。ED、EAのどちらか片方を採用する大学が多いですが、中には両方採用する大学もあります。また、早期締切日を複数設定している大学もあります。
EAの活用方法
早期締切の効果的な活用方法としてはまず、EAを積極的に活用することです。EAで受験した方が多少なりともアドミッションで有利になる可能性が高く、少なくとも不利になることはありません。EAを採用する大学への出願を決めたら、迷わずEAで出願しましょう。早期締切に間に合うようにアプリケーションを準備するのは大変ですが、その分競争相手も少なくなるはずですし、何よりその努力を大学が評価してくれます。
EAでは合格が見込めそうな大学をなるべく多く受験することをお勧めします。合格が見込めそうな大学というのは、奨学金が狙える大学とも考えられます。クリスマス前に複数の合格通知と奨学金の提示が得られることは、本人にとっても、また家族にとってもありがたいものです。
EDの活用方法
ED出願の最大のメリットは、アドミッションで確実に有利になる点です。大学にとって、ED受験生はありがたい存在です。合格通知を出せば必ず入学してくれるので、合格者の歩留まりを気にする必要がなくなるからです。合格したら迷わず進学したいと思える大学を受ける場合は、EDでの出願をお勧めします。
EDで出願する場合は、学費が払えるかどうかの見極めも重要です。一般締切やEAで出願した場合は、大学から提供されるファイナンシャル・エイドの条件を比較して進学先を選ぶことができますが、EDの場合はそれができません。ファイナンシャル・ニードをしっかりカバーしてくれる大学ならさほど問題ありませんが、そうでない場合は注意が必要です。必ず入学してくれる学生に、大学が高額なメリット・スカラシップを提示するとは考えにくいです。
通常締切への先送り
早期締切で受けた場合の結果は、3通り考えられます。合格、不合格、そして通常締切への先送り(Deferral)です。合否が通常締切に先送りになるのは、ボーダーラインの学生です。大学としては、合格通知を出しても良いと思っているが、通常締切での受験者と比較してから最終的な判断をしたい場合に使う方法です。
通常締切に先送りになった場合は、その後の対応次第で評価を高めることが可能です。大学が学生を選ぶ際に重視する基準の一つとして、「入学の意思」が挙げられます。大学は、入学してくれる学生に合格通知を出したいのです。そのため、合格者の絞り込みを行う際、その大学に対する興味を強く示した学生を優先して繰り上げるのです。
通常締切に先送りになった場合は、追加の資料を提示して、自分がその大学に進学したいという気持ちを伝えてください。大学に手紙を送ったり、追加の推薦状を手配したりするなど、自分を積極的に売り込むことが効果的です。
(2017年8月16日号掲載)