コアリション・アプリケーション最新情報

ライトハウス電子版アプリ、始めました

「コアリション・アプリケーション」という共通出願システムが新たに導入されることは、以前お伝えしましたが、その概要が徐々に明らかになってきました。今回は、コアリション・アプリケーションについて現時点での最新情報をご紹介します。
 
全米の名門大学のアドミッション担当者が「コアリション」というグループを作り、これからの時代にふさわしいアドミッションの方法について検討しました。そこから生まれた新たな共通出願システムが「コアリション・アプリケーション」です。2016年4月から、高校生がオンラインでアカウントを作れるようになりました。16年7月にアプリケーションのウェブサイトがオープンし、16-17年のアプリケーション(17年秋入学)から使えるようになります。
 
コアリションには、アイビー・リーグ各校や主要なリベラルアーツ・カレッジ、州立大学などが加盟しています。当初加盟大学は80校でスタートしましたが、5月25日現在94校(私立56校、公立38校)に増えています。コアリションは、既存のコモン・アプリケーションにとって代わるものではなく、アプリケーションの選択肢の一つです。

導入の2つの狙い

コアリション導入には、2つの狙いがあります。一つ目は的確な人物評価です。現状のアドミッションでは、大学は限られた情報を基に短期間で受験生を評価しなければならないので、学生の将来性を的確に判断しにくいのが難点です。これに対して、コアリションでは、アドミッションが長期にわたって学生の評価を行えます。
 
コアリションは9年生からアカウント(mycoalition.org)を作って利用できます。その中核は「The Locker」という容量制限のないオンラインのストレージです。ここには、クラスのプロジェクトやエッセイ、課外活動など将来大学にアプライする際に使えるかもしれない情報を何でも保管できます。つまり、「The Locker」は高校での活動を事細かに記したポートフォリオと言えるでしょう。
 
「The Locker」に載せた情報を、他者と共有する場所が、「Collaboration Space」です。学生は、高校のアカデミック・アドバイザーや大学のアドミッション担当者などを、「Collaboration Space」に個別に招待して、「The Locker」の情報を共有できます。誰とどの情報を共有するかは学生が自由に決められます。
 
「Collaboration Space」を通じて双方向のコミュニケーションを行うことは、受験生とアドミッション担当者の双方にメリットがあります。高校生は、日々の学習や進学準備についてのアドバイスをもらえ、アドミッション担当者は、従来のアプリケーションに比べてより的確に人物評価できるのです。現行のアドミッションにおいても、キャンパス訪問やメール、SNS等を通じて、アプリケーションを提出前に学生とアドミッション担当者がやりとりをする機会はあります。ハイスクール・ポートフォリオの共有により、アドミッションの双方向化はさらに進むと予想されます。
 
コアリションのもう一つの狙いは、潜在学生の掘り起こしです。低所得・低学歴の家庭で育った学生は、学習や進学準備について支援が受けにくく、その結果、高い潜在能力を持ちながら、能力を十分発揮できていない場合が多数あることが問題視されてきました。そのような学生は、「CollaborationSpace」を通じてアドバイスを受けることで、大きな成長が可能となります。このような金の卵を見つけることも、大学がコアリションを導入する重要な目的の一つなのです。

アドミッションの変化

コアリションは、大学のアドミッションにとって画期的なシステムであることは間違いありませんが、受験生にとっての価値を判断するのは時期尚早です。「The Locker」の情報がそのままアプリケーションに使えるので、出願時における作業が減るのが受験生にとってメリットであるとコアリションは指摘しています。確かに12年生の秋に行う作業は軽減されるかもしれません。しかし、一方で高校生はより長期にわたって進学準備に追われる可能性があります。「Collaboration Space」を有効活用するためには、高校生は9年生からアドミッション対応を考えることになるからです。
 
コアリションは、16年秋に12年生となる学生から対象となります。ただし、アドミッションの対応が間に合わず、16-17年のアドミッションで使用しない大学もかなりの数に上るとみられています。新12年生は、今後の各大学の動向を見ながらコアリション対策をするかどうか検討することをお勧めします。
 
(2016年6月16日号掲載)

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