ギャップイヤーの意義と活用方法

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春に高校を卒業した学生は、その年の秋から大学に進学するのが一般的ですが、すぐに大学には進学せず、さまざまな課外活動に取り組む学生も増え
てきました。このような高校卒業から大学進学までの猶予期間をギャップイヤーと言います。今回は、この意義と活用方法について説明します。

ギャップイヤーの目的とその取り方

高校卒業後すぐに大学に行くのは、必ずしも全ての学生にとってベストな選択とは限りません。将来の目標が定まらず、大学で何を学ぶべきか決められない学生や、高校生活で燃え尽きてしまい、大学で学び続ける意欲を失っている学生は、その状態で大学に進学しても満足のいく成果を得ることは難しいでしょう。
 
そのような学生にとって、高校卒業後半年から1年の間、今までとは全く異なる環境に身を置き、今までできなかった活動に取り組むことは、自分自身を見つめる上で大いに役立ちます。大学もギャップイヤーを有効活用した学生を入学審査で高評価する傾向にあり、ギャップイヤーを利用した学生は、そうでない学生と比べて大学進学後の学習意欲が高く、より好成績が期待できるという調査結果が複数の大学から発表されています。
 
ギャップイヤーの取り方は、大きく2通りあり、1つ目は、進学する大学を決めた後、入学を遅らせる方法です。この場合は、高校卒業後すぐに大学進学する学生と同じように進学準備を行います。そして、進学を決めた大学にデポジットを納めて大学の籍を確保した上で、アドミッションに連絡をとり、入学延期の依頼をします。延期の期間は1学期から1年程度が一般的で、多くの大学が一定の条件の下で延期を認めます。
 
2つ目は、進学先を決めずにギャップイヤーを取り、大学進学準備を行う方法です。さまざまな活動に取り組みながら、時間をかけて大学選びや願書作成ができるので、高校在学中に満足のいく進学準備ができなかった学生や、12年生の成績も入学審査で評価してもらいたい学生にとっては、理にかなった方法と言えるでしょう。
 
一見、日本の浪人に似ていますが、その目的は大きく異なります。進学準備を主目的にギャップイヤーをとっても、あまり効果はありません。あくまでも人間として成長するために幅広い活動に取り組むことが目的であり、その成長が結果的に大学進学に役立つのです。
 
ボーディングスクールなど一部の高校では、Post Graduate(PG)という13年生の学年を有し、学校内でギャップイヤー・プログラムを提供しています。PGでは個々の学生の要望に応じてきめ細かく支援するため、学生は大いに成長し、大学からの評価も高まります
 
多くの大学がギャップイヤーの価値を評価するようになり、大学自体がギャップイヤー・プログラムを提供するケースもでてきました。例えば、ニュージャージー州のプリンストン大学では2009年から「ブリッジイヤー・プログラム」というギャップイヤー・プログラムを実施しています。新入生が対象で、参加者は南米やアフリカなどで9カ月間のボランティア活動に従事します。「ブリッジイヤー・プログラム」にかかる費用は全て大学負担です。

自分に合ったプログラムの選び方

社会奉仕活動や海外での異文化体験、インターンシップなど、ギャップイヤーでできることは幅広いですが、大切なのは、自分に合ったプログラムを選ぶことです。大学に進学後、日々の学習や課外活動に意欲的に取り組み、有意義な大学生活を実現するために、ギャップイヤーでどんな経験を積み、何を身に付けるべきかをよく考えて、そのニーズを満たすプログラムを探してください。
 
学習面で不安のある学生は、ギャップイヤーで学術的なプログラムを取ることも可能です。ただし、この期間に大学レベルのプログラムにフルタイムで通うと、大学進学の際に新入生として受験する権利を失いますので、注意してください。
 
ギャップイヤーの発祥はイギリスですが、近年は米国内でも幅広く認知され、多くの情報がオンラインで得られるようになりました。米国ギャップイヤー協会は、その種類や活用方法などの情報を提供しています。米国ギャップイヤー・フェアーでは、多岐にわたるギャップイヤー・プログラムを紹介するイベントを全米各地で行っています。これらの情報を活用しながら、各プログラムを比較して、自分の目的に合うものを選びましょう。
 
(2014年11月16日号掲載)

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